町田・相模原イーストメリーウインドオーケストラ

第三回定期演奏会 / 町田市民ホール(2007/11/24)

第一部

ジュビリー序曲 / P.スパーク
ティンパニのロールと華やかなファンファーレから演奏会は始まります。2月に練習を初めて以来、この曲には最後まで悩まされました(いや、この曲に限ったことじゃありませんが)。しかしそこは本番に強いイスメリ。本番での演奏が恐らく過去最高の出来だったと言えるでしょう。ちなみに今回この曲は前述の金管バンド版を参考にしていたため、ところどころ吹奏楽版の譜面にはない楽器が追加されていました(主にパーカッション)。お気付きだったでしょうか。

スラヴィア / J.ヴァンデルロースト
この曲は初見合奏の段階で最も「できそうだった曲」です。…が、そこで油断したのが仇となり、結局これまた最後まで悩まされることとなりました。本番、ド頭のフレーズがぴったり合ったのは奇跡です。途中何度か崩壊しそうになりましたが、後半部分はかなり気合いの入った出来だったのではないでしょうか。つくづく楽しい曲なんです。

グローバル・ヴァリエーション / N.ヘス
最も「お先真っ暗」だった曲かと思います。ソリストで成り立つ部分が多いため、面子が揃わないと練習ができない。曲の雰囲気、曲の趣旨を理解しないと楽しい曲にならない。叩き屋なWEB担当的には、打楽器の数が凄まじいということもかなりの難関でした。なんせ、登場する打楽器の総数がじつに35種類。それを当初は5人で振り分けようとしており、しかも振り分けは自分たちで全て考えなくてはならない。どうにか振り分けても、今度は楽器がない。買ったり作ったりして調達せねばならない。しかも何故か鍵盤ハーモニカまでやることになり(笑) …そんなわけでものすごく苦労した曲でした。本番ではちょっぴり微笑ましい出来となったものの、全体の頑張りがうかがえる良演になったのでは、と思っています。

第二部

真っ暗闇のなか、全身黒尽くめでメンバー登場。指揮者のみにスポットが当たり、まず始まるのは…。

ジャパニーズ・グラフィティXI「刑事ドラマ・テーマ集」 / 星出尚志 編
嗚呼、つくづくイスメリはジャパグラの上手いバンドです。ニューサウンズの音源にも劣らない出来! むしろ勢いと荒々しさ、殺伐としたデカっぷり(?)では勝っているかもしれません(強引)。のっけからバンド全体のテンションが最高潮! この先爆発してしまわないか心配です。

と思っていたら、…あれ? なんだその紙は。えーと、「ス」……「ト」「ラ」…「イ」……ストライキ!?

ミュージシャンズ・ストライキ / P.ファーバック
「あーあ。やってらんねーよなぁ〜」。さっきまでバリバリにはぐれ刑事のソロを吹いていたメンバーがかったるそうに消えていく。他のメンバーも続々席を立ち、舞台上の人数は半数近く減る。だるそうにストレッチしちゃったりする輩まで。なんだ君たち、本番中だぞ?!

そんなことはつゆ知らず、普通に入ってくる指揮者。早速違和感に気付いた様子。「どうしたの?」「この紙なあに?(ぺらっ)」「……ま、いっか?」。とりあえず始めるのか。流石だな指揮者。プロだな(アマです)。

そんな感じで始まった「ミュージシャンズ・ストライキ」は第二部の核を成しています。単純なマーチに合わせてだんだん奏者が消えていく、ただそれだけの曲なのですが、準備や練習はかなり苦戦させられました。そんな苦労の結晶、退場演出はこちら!

  • フルート&ピッコロ:おもむろに楽器片付け、笑顔でバイバイ☆
  • トランペット&トロンボーン:ぷるるる。はいもしもしー! あ、お世話になっておりますー!
  • サックス:酔っぱらいフルーティストたちに拉致され、呑みへ♪
  • クラリネット:うとうと…。こっくんこっくん…。「出てけー!(withビンタ)」
  • ホルン:だーるーいー。むー…、「もー限界☆」。
  • ユーフォニアム:んー、新聞でも読むか。
  • 残された人々:………。

七人しか残らない舞台。さすがに指揮者もしょんぼり。新聞ぱらぱらめくる音だけが響くなか、舞台は暗転。うずくまっていじける指揮者だけにスポットライト。まるで漫画のような画に、客席からも笑いがおこります。

しばしの沈黙。そこへ救世主のように現れた一人のトロンボーン吹き。

「大丈夫ー? 元気出しなよー」
『やだやだやだ』
「ねえってばー」
『ぷすん』

「ふうむ…」
おもむろに「追憶のテーマ」のさわりを吹き始めるトロンボーン吹き。
「みんな、戻ってきなよ!」

追憶のテーマ / 浦田健次郎 編
無事みんなが戻ってきて始まった「追憶のテーマ」。しょげこんでいた指揮者も次第に立ち直り、再び指揮台へ! 美しく曲を終え、トロンボーン吹きと固い握手を交わす指揮者! なんと素晴らしい光景なn

ラララララララララァァァァァァ…………

突如響き渡るボンゴの乾いた音。なんだあれは! メガネの!アフロ! …アフロボンゴメガネェェェェェ!

そう、今回なにもかもをかっさらっていった男、アフロボンゴメガネの登場です。あまりにも衝撃的アグレッシブっぷりで、くねくねくねりとボンゴを叩きまくる彼。「僕ゴム人形みたい…(涙」とは、後に映像を見たアフロの呟き。彼は夏に入ったばかりのルーキーだったのですが、嗚呼、こんなかたちで開花してしまうとは。アンケートにも圧倒的な比率で「アフロのボンゴがすごかった!」「アフロのメガネの青年が良かったです♪」「メガネのボンゴがアフロでどうした」………。打ち上げ会場でアンケートを読んだ誰もが「このアフロボンゴメガネェェェェェェ!!!!!」と叫んだのは言うまでもありません。

エル・クンバンチェロ / 岩井直博 編
はい、そんなわけでアフロメガネのボンゴと、それとは対極的な冷静コンガ叩き、そして騙し討ちの「クンバンクンバンチェーロ!」から始まったのは、超定番「エル・クンバンチェロ」。パーカス隊もステージ前方へ繰り出し、始終ハイテンションのイスメリパワーを放出しまくったのでした。完全にアンコールのテンションでした。そして誰もが思ったことでしょう。「あれ、このあとハイランドあんの?」。

第三部「ハイランド讃歌組曲」

さっきのテンションはどこへ。再び真面目モード、それも今回のなかで最も重い曲が始まってしまいました。

1. Ardross Castle
「ティンパニの上にシンバルを乗せ、ペダルを踏みながらシンバルを叩く」という謎な手法による「風の音」から、ホールの空間をハイランドの世界へいざないます。クラリネットとファゴットの静かな掛け合い、そしてだんだん陽が昇るように音が開けていき、曲は最初の盛り上がりを見せます。何度聴いても、一年付き合っても全く飽きることのない、この曲の第一の聴かせどころです。幾度か激しい面を見せながらも、一旦静かに消えていきます。

2. Summer Isles
ユーフォニアムの独奏によるこの楽章。ソリストは相当なプレッシャーがあったことでしょう。でもその重圧と緊張を乗り越えて、よく頑張ってくれました。ラスト一音のハイトーン、スパークのいじめによくぞ耐え抜いた! おつかれさま、いい曲でした。

3. Strathcarron
うとうとしかけたかもしれない客席へ向けての大音量アラーム。突如、重厚で攻撃的な響きが突き刺さります。じつに民族的な香りが漂うソードダンス。ハイランドの自然はときに優しく、ときに厳しいのです(結構テキトーなこと言ってます)。

4. Alladale
傷を癒すように、今度は神秘の世界へご案内。どこからともなく聴こえる透明な大地の音。それにかぶさるサクソフォーン三重奏。ハイランドの大きな優しさを感じさせる楽章です。

5. Dundonnell
繰り返しますが、ときに厳しいのがハイランドの自然(多分)。のしかかるような黒人霊歌から最終楽章は始まります。宣戦布告のようなファンファーレ(多分)。そして攻撃(多分)。紆余曲折を経て、第一楽章以来の主題が登場。演奏している側としては、このあたりから涙腺への刺激が強まります。否めません。なんせ一年間練習してきたんです。それが今、この瞬間に終わってしまうんです。それはもう、涙も出ちゃったりするでしょう。いろんな気持ちが交差しながら、2007年のイスメリを象徴する曲「ハイランド讃歌組曲」は終わりを迎えます。

…でも、まだ余韻に浸っている暇なんてありません☆

アンコール

ディスコ・パーティー / 星出尚志 編
アンコール一曲目は、スカッと明るいこの曲! さっきまでの重い空気はどこへやら、やはりこっちがイスメリの真骨頂かな?なんてことを思いながらとにかく楽しく演奏♪ テンポアップした「ブギー・ワンダーランド」からはホールも手拍子に包まれ、よりいっそうノリノリ(死語? いいの、ディスコも死語だから)に! そして「フライ・ハイ」は、底抜けに明るいはずなのに何故か涙を誘う切なさ。「あ、もう終わりなんだ…」。そんな感情を誰しも抱いていたことでしょう。

でもね。まだしみじみしてる場合じゃないんだ、ゴメン☆

ルパン三世のテーマ / 星出尚志 編
アンコール二曲目は去年に引き続きルパン! しかし今年のルパンはひと味違う! おもいっきりパワーアップして帰ってきたぜ! 余韻を残すヒマなどない超ブッ飛びサウンドを無責任に大放出。それはそれはもう、出せるだけ出し切って、枯れるまで出し切って……

「ブラボーーーーーーーー!」

…耳を疑った。今までブラボーなんて、客席側で聞くことはあったけれど演奏者側で聞くことなんてなかったから。それも、ひとつではなく、誘われるようにふたつ、みっつ…。本当に嬉しかった。あのブラボーを忘れることはないでしょう。イスメリとして、いち演奏者として、あの最大の賛辞は最大の誇りです。

終演後、恒例のお見送り。ロビーに溢れかえる人、人、人。そこにいる全員に心のなかで感謝を述べ、最高の気分で第三回定期演奏会を終えました。


…って。

まだ終わってないんだけどねー☆ ホールを撤収するまでが定演です! ひーえー! 「あと15分で延長料金とられまーすっ!」。ひーーーーえーーーーーーー!(フェードアウト)

正直、いくら書いても書き足りません。これを書いているのは定演から一ヶ月以上が経った大晦日(あ、もう元旦になっちゃった)ですが、定演を思い出すと未だに心拍数が上がります。これでも書きたいことをかなり厳選したんです。勘弁してください、熱血だもの。

この場をお借りして、第三回定期演奏会を作るにあたって協力して下さった全ての方々に感謝申し上げます。練習場所や楽器を幾度も提供して下さった都立成瀬高等学校様、都立小川高等学校様。一緒に演奏して下さった賛助の方々。急なお願いに応えて下さったスタッフの方々。映像・写真撮影、録音などで協力して下さった方々。宣伝に協力して下さった方々。その他、目に見える部分や目に見えない部分、様々な部分で協力して下さった全ての方々。ありがとうございました! もちろん実行委員、そして様々な面で動いてくれたメンバーにも感謝は尽きません。ありがとうございました、お疲れ様でした!

以上で超特大レポートを終了とさせて頂きます。最後のほう、かなりヤケクソな文章になってしまいました。もうちょっと集中力のもつ長さにすべきでした(笑) そんな超お粗末レポでしたが、こんな最後の最後まで読んでくれて……、愛してるぜ!

失礼なやっちゃ…。

ルパン、ラスト!

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