町田・相模原イーストメリーウインドオーケストラ

We Love 吹奏楽まちだ / 町田市民ホール(2012/05/05)

2012年5月5日こどもの日。定期演奏会から3ヶ月も経たずして、イスメリは再び町田市民ホールで本番を迎えていました。「We Love 吹奏楽まちだ」と題されたこの演奏会、簡単に言えば所謂「合同演奏会」というものです。

同じく町田で活動する音楽團・町田さんからお話をいただき、それにイスメリが賛同するかたちでの共催となった合同演奏会。この2バンドに加え、一般募集で集まったメンバー、そしてなんと創部2年目の町田市立木曽中学校吹奏楽部さんも参加となり、総出演者数約120人の一大イベントとなりました。

この演奏会、とても一言では言い表せないほどたくさんの想いが詰まっているのですが、それを新たに説明するのも難しいと思いましたのでプログラム冒頭に書かれたメッセージを全文掲載しちゃいます。わたしが書いたものではございません(笑)

コンセプトは「もう一度町田の吹奏楽に活力を」

その昔、町田市には町田市民吹奏楽団というアマチュア市民吹奏楽団が長く活動していました。40年ほど前から町田といえば町田第二中学校をはじめ市内中学・高校や町田市民吹奏楽団、私立といえば玉川学園など非常に吹奏楽が盛んで活気溢れる活動を市内各地で行っていました。

しかし10年ほど前にその町田市民吹奏楽団が団員数の現象や諸般の事情により解散を余儀なくされ、町田市には目立った活動をする市民吹奏楽団体がほとんどなくなってしまい、時を同じくして町田市の公立中学校や高校も活気がだんだんとなくなっていき、その反面八王子にある片倉高校をはじめとした近隣の地域の吹奏楽が活性化されたことでより町田の吹奏楽の灯は薄暗くなっていきました。そのため地域でも演奏する機会も徐々に減り、吹奏楽団の存在すらも忘れられていき、アマチュア吹奏楽愛好家の活動できる機会も場所も団体も寂しい状況になってしまいました。

しかしそんな状況を打破しようと数年前に2つの吹奏楽団体が生まれ、それぞれ「町田・相模原イーストメリーウインドオーケストラ」と「音楽團・町田」と名乗り、それぞれのスタンスでアマチュア吹奏楽団体として新たに町田で活動をはじめて少しずつ市民の場に演奏機会をいただき、覚えていただけるようになって参りました。

今回はその2つの団体が結束して中心となり、コンセプトである「もう一度町田の吹奏楽に活力を!」という気持ちでこのような演奏会の企画をいたしました。

またこの2つの団体だけでなく、どこにも属していない町田市を愛する吹奏楽愛好家を掘り起こすことや、まだまだ楽器経験が少ない中学生や高校生も一緒になってコンサートを楽しんで演奏してもらえることが出来ればと考えていたので、普段なかなか町田市民ホールのような大舞台で演奏出来る機会が持てないみなさんに、一緒に演奏してもらおうと思い立ったのであります。そんな埋もれている「吹奏楽が好きでたまらない」「町田が好きで好きでたまらない」といった人たちと、共に楽しい演奏会が開催できるという願いがようやく今日こうやって実現しようとしており、本当に嬉しく思っております。これも参加者だけでなくこの企画に賛同および関わっていただいた皆様が助けてくださったおかげであり、この日を迎えられることに感謝せずにはいられません。

そしてこれをきっかけに将来的に町田の吹奏楽の発展に力をお貸しできるような体制が出来て、公立中学校や高校、一般吹奏楽団体そして町田市に携わる音楽関係者が共に連携し、それぞれに十分な活動や演奏機会、町田市への貢献などのサポートが出来るようになってほしいと心から願っております。

さて、どう書き進めたものかと悩みましたがサクッと当日まで飛んでしまうことにしましょう。なにせ3団体+合同バンドということで、1団体15分ほどしかリハーサル時間が取れなかったりしつつあっという間に本番。お客様の入りは上々です。

トランペット3本による、この日のために書き下ろされたファンファーレで演奏会は幕開け。第一部単独ステージの1組目を飾るのは音楽團・町田さん。イスメリがとっても不得意とする系統の「ホルスト1組」や、イスメリにも毎年秘密兵器として友情出演していただいているシャーク沖津氏(Tp)のハイトーンが炸裂する「トワイライト・ハイウェイ」など、思わず唸る演奏に(さりげなく客席最後列から見ていた)団長はじめイスメラーズ拍手喝采。うわー負けておれん…!

続く町田市立木曽中学校吹奏楽部さんのパフォーマンスもまた素晴らしいものでした。ラスト2曲で繰り広げられたまさかのステージドリルには、合同練習時からもうびっくり。たった2年弱(というより1年強?)でここまでのバンドを作り上げた顧問の田向先生、そして生徒さんたちにはただただ感服です。勉強させていただきました。

そしてそんな未だかつてないプレッシャーのなか、第一部トリを飾ることになってしまったのは我々イスメリです。「ま、負けられねえ…!」的なナチュラルハイで臨むことができたので、結果的には良かったかも?(笑) ここ3年間の定期演奏会から1曲ずつピックアップした3曲でお送りしました。なお“百獣の王”はリラックマからトラにグレードアップ(ライオンには届かず)。普段より20名ほど少ない48名編成だったこともあってか、比較的まとまりのあるサウンドになっていた、という声も!(人数を書いて気付いたのだがAKBメドレーでもやれば良かったのではないだろうか)


なんと合計11曲(!)という脅威の第一部を終え、わずかな休憩を挟んで突入した第二部は、総勢103名の「町田を愛してやまない人たちによる合同バンド」による本日のメインステージ。この合同バンドの練習は1月から始まっており(イスメリは定演と並行して練習が進んでいたことになります)、月2回ほど、イスメリと音楽團さん、そして一般参加の方々と一緒に練習がおこなわれていました。近隣の楽団同士こうして集まるというのは正直ものすごく珍しいことで(実際、この組み合わせは初です)、この練習こそが「合同演奏会をする」ということだったのではないかなあと思ったりしました。

メインステージ1曲目はショスタコーヴィッチの「祝典序曲」。指揮は音楽團より芝岡さん。合同だからこその強力な金管隊(バンダも!)が、じつにテンションを上げてくれます。つられて、最後のスネアもトリプルスネアにしてみたりしました(うるさかったけど、楽しかった…!)。練習ではなかなかテンポに付いていけなくて大変だった曲ですね(笑)

2曲目は、イスメリより武田の指揮で「グローバル・ヴァリエーション」。イスメリでは第三回定期演奏会で取り上げた曲ですが、なんというか、おもしろいんですけど、簡単にぐっちゃぐちゃになる曲なのでこちらもやはり大変でした。ゲネプロで冒頭のチャイムを華麗にミスってビッグベンから落ちかけた彼の心境を察すると…というのはこちらの話。

後半3・4曲目は、客演指揮の澤田光夫先生によるタクトで。澤田先生は、東京都吹奏楽連盟の会長、そして東京都中学校吹奏楽連盟の顧問を現在つとめておられます。御年74歳の先生ですが、今回この演奏会の主旨に賛同してくださり、豪華なコラボレーションの実現と相成りました。肩書きだけ見ると一体どんな先生が来られるのか…と緊張していた我々でしたが、プログラム記載の言葉を借りれば実際の先生は「ちょっとかわいい『おじいちゃま』」で、ところどころズッコケたりしながらの練習でした(笑)

そんな澤田先生の棒による1曲目は「エルザの大聖堂への行列」。イスメリではまず選ばれることのない曲なので、この名曲をこんな大人数で演奏できるのは貴重な機会でした。そして最後を飾るのは、泣く子も黙る超名曲「アルメニアンダンス パート1」。イスメリでは「パート2」を演奏したことがありますが、「パート1」は何気に初めて。練習での苦労は多々あったものの、合同演奏会ならではのアツい演奏ができたのではないでしょうか。エルザに続き、やはりとても貴重な体験でした。

アンコールでは木曽中学校の生徒さんたちも再びお招きし、口笛だのリコーダーだの歌だの賑やかなマーチ「木陰の散歩道」、そしてイスメリでも演奏したばかりのド定番「宝島」をこれでもかというほどド派手に爆発させて、喝采のなか終演。3時間におよぶ超絶豪華な演奏会が、無事に幕を閉じました。

それはそれは盛り上がった打ち上げを終えて思ったことは、まず「すごいプロジェクトだったな」ということ。町田で活動する2団体が力を合わせて運営し(聞くところによると実行委員会のミーティングはかなり大変だったようです)、木曽中学校さんからは練習場所や楽器を提供していただき、町田市教育委員会からの後援も頂き…と、とにかくすごいことだらけでしたが、この演奏会をやって良かったなーと思う、もっと身近なことがあります。それは、同じ施設で練習している音楽團さんのメンバーと普段すれ違ったりしたときに挨拶や世間話が自然にできるようになったことです。

これまではどうしても他の楽団さんということで、なんとなく顔は知っていても自然と壁を作ってしまっていたところがあったりもするのですが、今回の合同演奏会でちゃんと交流ができたことにより、別々の楽団でありながらとても良い関係を築くことができました。音楽というのは人間関係が本当に大事だと思っているので(あくまで私見ではありますが)、今回のことは確実にいろいろな面でプラスになるはずです。音楽團さんや木曽中学校さんに限らず、近隣でのこういったお付き合いをもっと広げていく必要を心から感じました。その第一歩を踏み出すことができて本当に良かったです。


ところで、後日談がいくつか。演奏会終了後ほどなくしてBeat Box Cafeさんにて、合同演奏会の練習から本番までを追った写真展「We Love...」が開催されました。演奏会にもトロンボーンで参加された写真家タナカトシノリさんのご協力により実現したこの企画、なにせギャラリーとカフェが併設されていてお酒も飲める!ということで、期間中に何度も通うメンバー多数。ご好意でこのレポートにも写真を使わせていただきました(集合写真と大人数のステージ写真)。こういった繋がりも本当に嬉しいところ。

それから、なんとなんとあのバンドジャーナル誌にもレポートが掲載されました!(2012年7月号 P96-97) 写真付きで半ページ以上、というかなり大きな扱いです。イスメリの名前が載っていて大喜びです(笑) こちらも発売されるやこぞって買い求める者多数。記念として大切にします。

そんなこんなで、書き始めたらやっぱり長くなってしまいましたが、難しいことは抜きにしてとっても楽しい演奏会でした。さすがに毎年開催なんてことはできないですが、また数年後に「vol.2」が開催できることを願ってやみません。その日までイスメリはイスメリで町田の吹奏楽の灯を消さないよう尽力していきますよ!

We Love 吹奏楽まちだの模様

プログラム

  • 第一部《単独ステージ》
    • 音楽團・町田
      • 第1組曲(ミリタリーバンドのための) / G.ホルスト
      • トワイライト・ハイウェイ / 岩井直博 編
      • ディズニーメドレー / 岩井直博 編
    • 町田市立木曽中学校吹奏楽部
      • 威風堂々 / 水口透 編
      • オペラ座の怪人 / C.ハート 編
      • 草原の歌 / P.ラプラント
      • 名探偵コナンのテーマ / 山下国俊 編
      • おどるポンポコリン / 山下国俊 編
    • 町田・相模原イーストメリーウインドオーケストラ
      • セレブレイト / 清水大輔
      • ジャパニーズ・グラフィティXV アニメヒロイン・メドレー / 星出尚志 編
      • ライオンキング・メドレー / J.ヒギンズ 編
  • 第二部《町田を愛してやまない人たちによる合同バンド》
    • 祝典序曲 op.96 / D.ショスタコーヴィッチ
    • グローバル・ヴァリエーション / N.ヘス
    • 歌劇「ローエングリン」より エルザの大聖堂への行列 / R.ワーグナー
    • アルメニアンダンス パート1 / A.リード
  • アンコール
    • 木陰の散歩道 / E.F.ゴールドマン
    • 宝島 / 真島俊夫 編