第12回定期演奏会 / 相模女子大学グリーンホール(2017/02/18)
またうっかりやってしまいました。早く書けばいいものを、3ヶ月ほど放置です。もう余韻もなにも残っていない5月末ですが、さくっと書いていけたらと思います。よろしくお願いします。
さて、第12回ということで、「10回超えたらあっという間」なのでしょうか、次なる節目の15回もそう遠くない気がしてきました。ちなみに、会場のグリーンホールは今回で5回目の使用。かつてホームとしていた町田市民ホールの使用回数(定期演奏会のみカウントして4回)をさりげなく超えてます。しみじみです。
ここ数年はFacebookのほうで本編以外のレポートを公開しているので(そこに力を入れすぎて本編レポがないがしろになるんですけどね)、こちらでは本編からいきなり始めましょう。
そういえば、この頃はインフルエンザが猛威を振るっていたなあ…。全員出れたのは奇跡だったかも…。などと、ふと思い出しつつ。はい、開演です。
第一部:オリジナルステージ
演奏会のオープニングを飾ったのは、A.リード「ヴィヴァ・ムシカ!」。この曲名、日本語にすると「音楽万歳!」というもので、司会原稿には当然「演奏会の幕開けに相応しい曲だったのではないでしょうか」などという一文を盛り込んだりしちゃっていたわけですが、どうでしょう、ちゃんと幕が開きましたでしょうか。こういう曲がじつは一番難しいんですよね…!
続いては、オッフェンバックの超有名曲「喜歌劇『天国と地獄』序曲」。いつものイスメリをよく知っている方なら「あら珍しい」となる感じの選曲かもしれません。今回の第一部選曲は従来の投票制ではなく話し合いスタイルをとりまして、その結果選ばれたのが、イスメリとしては珍しく超メジャーなこの曲でした。熟考の甲斐あってか、アンケートでは堂々の第1位に。演奏していても存外楽しかったですし、それでお客様にも喜んでいただけるなら、いいことづくしです。
第一部の最後は、B.アッペルモント「ノアの方舟」。旧約聖書のエピソードをわかりやすく描写した曲で、曲自体は知らなくてもとても親しみやすかったのでは?と思います。パーカッション8名でも手一杯になる計24種類もの打楽器たち、バンド全体の「息」で表現した風の音など、通常の演奏プラスアルファの見所聴き所を用意できた曲でした。プログラムに掲載されていたコラム「おしえて! ノアじい!」もおもしろかったので、見れるようにしておいたのぢゃよ。
第二部:ポップスステージ
今回のポップスステージは、珍しく完全洋楽。吹奏楽をやっている方なら「ニューサウンズ・イン・ブラス」シリーズには少なからずお世話になっていると思いますが、今回の1曲目「オブラディ・オブラダ」は、1972年にリリースされた「ニューサウンズ・イン・ブラス 第1集」の1曲目なんですよ! 吹奏楽ポップスの記念碑的作品といっても過言ではないでしょう。
続いても、吹奏楽のポップスサウンドにもってこいな「スティーヴィー・ワンダー メドレー」、さきほどのオブラディ並に年代モノの譜面「イエスタデイ・ワンス・モア」、そして最後はイスメリらしくちょっと斜に構えてみた(?)感じで「スペイン」。スペインは、数あるアレンジのなかからとても格好良い譜面をセレクトすることができました。
今回はこれといって演出に凝ったりはしなかったのですが、そのかわりに「ダブル団長インタビュー」を企画! まずは、大阪府箕面市で活動されている「池田高校OB・OG吹奏楽団」様の団長さんに客席突撃インタビュー。
こちらの楽団様とはご縁がありまして、大阪でおこなわれる定期演奏会にはイスメリメンバーも毎年駆けつけているほど。じつは昨年大阪へ行った際、抜き打ちで団長さんから客席突撃インタビューされるというドッキリを受けたイスメリメンバー。この日は団長さんがいらっしゃると聞き、ここぞと仕返しをしてみました。我らがMC松坂さんの「東」なインタビュアーっぷりに、コテコテ関西人の団長さんは「全然おもろいこと言えんかった…」としょげておられたご様子。仕返し、大成功!(ご協力、ありがとうございました!笑)
※ちなみにどちらもホールの名前が「グリーンホール」だという、さらなるご縁。
そしてもうひとりは、もちろんイスメリの団長へインタビュー。去年の3月に緊急就任した三代目団長、今回が団長として初めての定演になります。イスメリ歴は長く、創団メンバーのひとりという彼ですが、フラットな視点で団を良い方向に導いてくれていると思います。手前味噌ながらとても良い団長です、何卒よろしくお願いいたします。
第三部:メインステージ
今回のメインとして選んだのは、天野正道氏の「交響曲第1番『グラール』」。第6回定期演奏会で「『GR』より シンフォニック・セレクション」にチャレンジして以来、メインとしては6年ぶりの天野作品となります。
神奈川県川崎市で活動するグラールウインドオーケストラの委嘱によって書かれたこの曲。ありがたいことに演奏会の日はグラールウインド様からも何名か来てくださっており、後日あたたかいメッセージをいただきました。お耳汚しになっていないことを祈りつつ…。ありがとうございました!
ちなみに演奏会の数週間前には天野正道氏の生誕60周年記念コンサート川崎公演がおこなわれており、グラールウインド様の演奏でこの曲を聴くというタイムリーな経験もできました。(同じ公演で拝見した浜松交響吹奏楽団様の十八番「シンフォニック・セレクション」も、また衝撃的な名演でした…。6年前にこれが観れていたなら…)
全4楽章編成となるこの「グラール」ですが、今回は1・2楽章をセレクト。禍々しい冒頭から徐々に天野正道ワールドに引き込まれていく、これぞ天野正道!な第1楽章「幻影-ファントム ドゥ ラムール」。絞り出しては解き放たれる、そんなテンションの緩急が、噛めば噛むほど好きになる素晴らしい曲でした。
第2楽章は、直訳すると「なんでスペイン風?」という風変わりなタイトルが付けられた「エスティロ デ エスパーニャ ポル ケ?」。こちらは一転して分かりやすいスパニッシュな雰囲気の漂う楽曲となっていますが、それでも出てくる出てくる“天野節”。天野氏の作品はとにかくこの“天野節”を愉しみたくて演奏するようなものですからね! 堪りません。
一年間頑張った!と心から思える、取り組み甲斐のある曲でした。次に天野作品へ取り組める日はいつになるでしょう。楽しみです。還暦を迎えられてもなお、益々のご活躍をお祈りしております!
アンコールとして、P.スパーク「ザ・バンドワゴン」とお馴染みの「ルパン三世のテーマ」をお送りし、無事終演。今年はロビーの人口密度が特にすごかったように思います。今回が初めてのお客様も、毎回来てくださっているお客様も、ときどき行くよーっていうお客様も、みなさま本当にありがとうございました。また一年間頑張っていきますので、次回もどうぞお楽しみに!
Photo by Nobuto Sakai
プログラム
- 第一部《オリジナルステージ》
- ヴィヴァ・ムシカ! / A.リード
- 喜歌劇「天国と地獄」序曲 / J.オッフェンバック(鈴木英史 編)
- ノアの方舟 / B.アッペルモント
- 第二部《ポップスステージ》
- オブラディ・オブラダ / 岩井直溥 編
- スティーヴィー・ワンダー・メドレー / J.ワッソン 編
- イエスタデイ・ワンス・モア / 岩井直溥 編
- スペイン / 木原塁 編
- 第三部《メインステージ》
- 交響曲第1番「グラール」より / 天野正道
- 幻影-ファントム ドゥ ラムール
- エスティロ デ エスパーニャ ポル ケ?
- 交響曲第1番「グラール」より / 天野正道
- アンコール
- ザ・バンドワゴン / P.スパーク
- ルパン三世のテーマ / 星出尚志 編