第八回定期演奏会 / グリーンホール相模大野(2013/03/02)
「また次の演奏会でお会いしましょう」と書いてから一年後。再び、変わらずに演奏会を開催できたのは幸せなことです。というわけで、第八回定期演奏会も無事に終了しました。
今年は選曲の妙により「メインよりも1部のほうが重い」という異常事態が発生。ついでに言うと「9月頃にメイン曲が急遽変更」という緊急事態も発生していました。1部曲については圧倒的な難易度、3部メインについては圧倒的な練習時間不足。いやはや、毎度のこととはいえ今年も大変そうですなあ(他人事)。あ、もっと切実に大変なこともあったのですがそれは団の名誉のために伏せておきましょう。
さて、いろいろありーのかくかくしかじかで迎えた当日。今年も会場はグリーンホール相模大野です。楽屋からロビーへの道のりで迷子になると評判のグリーンホール相模大野です。客席から行けばすぐなのに、なぜ内部構造あんなに複雑なの…!
そんなロビーで、毎年恒例のロビーコンサートからスタート。今年のロビコンは、昨年の団内アンサンブル大会にて総合優勝に輝いたクラリネット&弦バスチーム。じつは優勝団体への副賞がロビコン出演権だったのです。じつに「いらない」副賞ですね(笑) 直前まで「やるのやらないの?」となりつつも結局ほぼ一夜漬けのような感じで実行したとか。曲は「ティコ・ティコ」。お疲れ様でした! それでは開演まで今しばらくお待ち下さいませ〜。
毎度実感のないこの時間帯。17時30分、開演です。
第一部
オープニングは「スラヴァ!」。バーンスタインらしい、コミカルでテンションの高い楽曲。演奏会の始まりにふさわしい…のですが、猛烈に難曲でしたね。まあイスメリにおいては今更特筆すべきでもないありふれたエピソードと言えましょう。余談ですが過去にイスメリは「スラブ行進曲(チャイコフスキー)」と「スラヴィア(J.ヴァンデルロースト)」を演奏しており、今回「スラヴァ!」が加わったことで、昔話をするときに紛らわしくてたまらないトリオが完成したのでした。
二曲目は「エアロダイナミクス」。この曲には「1903年オハイオ州デイトンでの飛行機誕生を祝して」という副題が付けられており、ライト兄弟が飛行機の初飛行を達成してから100年にあたる2003年に作られた曲とのこと(というと今年は110周年だったんですね)。ピアノをフィーチャーしたラグタイム風の部分、飛行機造りを表現した数々の特殊打楽器、ブレスによる風の音など、聴きどころ満載でお送りしました。じつはこの曲もかなり練習が難航しまして、飛行機飛ばないんじゃないか、ちょっと浮いてすぐ落ちるんじゃないか、ってな状況で本番に臨んだのですが、果たして本番は無事飛べていたのでしょうか。
三曲目は「鳳凰が舞う」。副題の「印象、京都 石庭 金閣寺」が示す通り、イメージとしての「京都」を描写した曲です。締め太鼓、当たり鉦、拍子木などの和楽器から、涼しげな竹鳴子、鹿脅しをイメージした竹の筒、しまいには笹の葉といった特殊打(打…?)楽器のオンパレード。加えて、今年も大活躍のハープ。目にも耳にもお楽しみ頂けたのではないでしょうか。ちなみにこの曲、メインなのではないかと錯覚させられるほどの難曲っぷりでして、この曲が終わった時点で本日のパワーと集中力を使い切ってしまったメンバーも多かったのではないかと思われます(笑) 選曲は計画的に。
第二部 〜イスメリ×昭和の名曲〜
今年のポップスステージは「イスメリ×昭和の名曲」。元々は「80's特集」ぐらいのつもりでいたのが、候補に挙がった曲がことごとく70年代だったので「70's…? 語呂がちょっと…」みたいなところから、気付いたら「昭和の名曲」なんておおざっぱな括りにされていました。カーペンターズとビリー・ジョエルを昭和と括っていいのだろうか!
そんなわけで一曲目から早速「昭和…?」な「カーペンターズ・フォーエヴァー」。カーペンターズは素晴らしいですね…、どうやったらあんな大量の名曲を生み出せるのか。実際演奏してみて、改めてすごいなあと思いました。このメドレーは1990年の出版ですが、未だに演奏され続けているのが納得の色褪せなさです。
ところで。今回の司会は1〜3部通して「限りなくプロ」な方にお願いしました。昨年の合同演奏会「We Love吹奏楽まちだ」での司会っぷりに惚れ込み、打ち上げ会場で早速お願いをするという強引手法にもかかわらず快諾していただきありがとうございました! あのクオリティ、どう考えてもプロだと思うのですが普段は違うお仕事をされているとのこと。今後ともよろしくお願いいたします…!
そんな名司会があったからこそ実現した第二部の企画は「天の声」。客席後方からの司会とメンバーいじりで進行していきました。最初に目をつけられたのは「イスメリ最年少メンバー」と「イスメリ最年長メンバー」。
最年少のMちゃんはなんと16歳の高校1年生! クラリネットを始めて4年目で、高校でも吹奏楽部に入っているとのことです。ここからしばし質問コーナーへ。
「部活があるのに何故イスメリにも入ろうと思ったんですか?」
−「なんか大人の人たちに囲まれてやったら楽しそうだなと思って(笑)」
「実際入ってみて、それはどうでしたか?」
−「すごいみんな上手だし優しくて大好きです」
「いま前のメガネのオジサンに睨みきかされてましたけど大丈夫ですか?」
−「(笑)」
「この先も、大学生になっても社会人になってもずっとイスメリでやりたいですか?」
−「はい、やりたいです」
ステージ感涙! Mちゃんありがとうございました! これからもよろしくお願いします!
続いて、最年長のサックスパートHさんは一気に飛んで昭和20年生まれ67歳! 「したがいまして、今の高校1年生の16歳からすると、殆ど『じぃじ』の世界であります」とはHさんの弁。でもHさん、まったく『じぃじ』には見えないんですよ! 質問コーナーも、話が止まらないほどの饒舌っぷり(笑)
「楽器はいつ頃から始められたんですか?」
−「約5年前なんですけども、わたし山もやっておりまして、日本百名山を62歳のとき達成いたしまして、そのあと何やろうかなーと思いまして、ちょっと楽器やりたかったものですからそこから始めまして。昨年わたし、そちらの席にいて観てたんですけども、そのあとこちら側のほうに来るようになりまして、入団1年でございます」
「なるほど、ありがとうございます。シニアの皆さんお聞きになりましたか? Hさんは65歳までバリバリ現役でお仕事をされて、楽器をやろうと思っていたと。たまたまご縁があって、昨年は客席でこのイスメリの演奏を聴いて、これだ、と。でも最初はサックスをやろうと思っていたのではなかったと聞いたのですが?」
−「昔クラリネットを吹いたことがあるので、クラリネットを買おうと思って楽器屋さんに行ったんですけども、なんか知らないですけど楽器屋さんに薦められてサックスになっちゃいまして、それからサックスやっております(笑)」
「どう言って薦められたんですか?」
−「『カッコイイですよ』って言われたんですよ。それで、意外と『音出るじゃないですか!』なんて褒められちゃったもんだから、その気になっちゃって買わされちゃったってのが実態だと思うんですけども」
「でも『その気になっちゃった』きっかけから5年目、まだまだサックス現役でやりますよね?」
−「はい、やらせていただきます、頑張ります」
書き起こしが、長い!(笑) Hさんありがとうございました! 本当にとても67歳とは思えない、元気で積極的なHさん。いつも励まされてます。これからもずっと一緒に楽しくやっていきましょう!
すっかり演奏会レポートを書いている気分でもなくなってしまいましたが、まだ第二部は始まったばかり。二曲目は「ジャパグラ」シリーズ最新作「ジャパニーズ・グラフィティXVII 美空ひばりメドレー」。説明不要、美空ひばりの名曲を集めたメドレーです。途中では先ほどのHさんによるサックスソロも! 一年前は客席、一年後にはステージでソロ。すごいことですよね。
洋、和、と来て、再び洋。三曲目はビリー・ジョエルの「オネスティ」。この曲はアルトサックスソロでお送りしました。すごく難しい曲だったのでバンドは少々混沌としてしまいましたが、サックスソロには酔いしれていただけたのではないでしょうか。Hちゃんお疲れ様でした! …ところでサックスパートには3人も「Hさん」がいることに気付いてしまいました。
四曲目の前に再びメンバーいじり。「どうしても喋りたいっていう人がいるんで」と紹介されたのはクラリネットパートいち輝いているオジサン、P氏(本名F氏)。
「Pさん初めまして、わたくし司会のMと申します」
−「あ、Pですー、よろしくお願いしますー(※関西イントネーションで再生して下さい)」
「あのー、Pさん、どこのご出身ですか?」
−「えと、出身は岐阜県の岐阜市になりまして、で、大学のときに石川県に4年間住んでまして、で、社会人になって大阪のほうn
「はいあのちょっと待って下さい、出身を訊いたんですよ今。岐阜県生まれで、石川やらなんやらと。そして今は、相模原市? 町田市?」
−「えーと、川崎市です」
痛めつけられるエセ関西人のプライド。淡々としたインタビューは続きます。
「Pさんにとってこのイスメリ、1年間一生懸命準備をしてきて、もう1部3曲、2部3曲、折り返し点を過ぎちゃいました。今どんなお気持ちですか?」
−「いやー…、速いですね時間経つのは。もう2部終わって、あと1曲吹いたら、ねっ、…打ち上げっ!」
「打ち上げはやっぱり楽しみですか?」
−「いやもうこの、1年間頑張ってきて、今日の演奏会でみんなといい演奏ができたら、このあとの打ち上げもいいお酒が飲める、と。このお酒のために頑張ってるようなもんです」
「『このお酒のために頑張ってる』、名言いただきました。そんな方、会場にも沢山いると思います。終わったあとのお酒がうまいからこれを頑張るんだ、と。 さてPさん、せっかくですから、会場に来て頂いた皆さんに、『イスメリ、こんな楽団なんだよ』、そして今日の感謝の気持ちを、短くまとめてお伝え下さいどうぞ!」
−「……あ、Pですーすみませんー(挨拶)。あの、観ていただいた通り、ろうにゃく…にゃんにょ、取り揃えて…取り揃えてちゃうな、あの、仲良くやってる楽団ですー。是非よかったら練習場に来ていただいて、一緒にやりたいという方がおられたら、同じ舞台に立てたらと思います。今日は本当にありがとうございました」
はい、P氏、お疲れ様でした。これ半ば無理矢理に喋らされてるんですよ(笑)
さてさて、ようやく最後の曲です。第二部最後は「坂本九スタンダードメドレー」。先ほどのP氏含めたクラリネットデュオによる「上を向いて歩こう」、イケメントランペッターS氏によるイケメンソロ「見上げてごらん夜の星を」、ユーフォニアムソロから始まって大団円!な「明日があるさ」の三曲をメドレーで。なお今回、人知れず舞台上でパツキン鼻メガネになったり見苦ひばりになったり踊ったりしていたシュール担当がいたのですが、司会でも一切触れられることはなく第二部終了となりました。
第三部
ついに辿りつきました、第三部。今年のメインは、M.アーノルド作曲「管弦楽組曲『第六の幸福をもたらす宿』」。この曲は1950年代のアメリカ映画「六番目の幸福」の劇中音楽として作られ、映画自体はマイナーでありながら楽曲は吹奏楽界において非常に人気があります。映画もとても感動的な作品でしたので、機会がありましたら是非ご覧になってみてください。なお司会で「帰りにTSUTAYAに寄っていただいて」などと言われていましたが、TSUTAYAに置いてない率高いです。
前述しましたようにこの曲、決まったのが昨年9月頃でした。諸々の事情で本来やるはずだった曲が次回持ち越しとなり、練習時間もスタミナも他の曲(主に第一部)に喰われながらの本番。今年は「ピッチの改善」をテーマにしていましたが、「舞台チューニングからしてゲロゲロだった」とは指揮者の弁。大きな課題の残る出来となりました。…とはいえ!(笑) 例年のメイン曲と比べて格段に分かりやすい曲でしたし、眠くならずにお楽しみいただけたなら嬉しいなあと思っております。
まあ、事故も多々ありつつ、なんとか終了! からの、ありがとうございます、アンコールへ突入。一曲目は第二部のテーマを引き継ぎまして、ジャクソン5の「I WANT YOU BACK」。楽しい曲ではありながら難しい譜面だったので、録音を聴いた感想としては「燃えカスのような演奏」でしたかね(笑) そして最後は「僭越ながら」と、お決まりの「ルパン三世のテーマ」。もう7回目ですか。年々この曲の練習回数が減っているのは気のせいじゃないはず。すみません、無礼講です。
というわけで
どうなることかと思いましたが、今年もなんとか終了致しました。足を運んで下さった皆様、応援して下さった皆様、ありがとうございました。…と思ったら今年まだあるじゃん!てなわけで、なんと今年はもう一回、11月に定期演奏会が開催されます。打ち上げでは早速「団長からみんなにプレゼント」として次回第一部の選曲CDが配られ、譜面係からは「団長に日頃の感謝を込めて」と次回メイン曲の製本スコアがプレゼントされました。スコアを見た感想「分厚っ」「黒っ」。
「お前ら休んでる暇ねーぞー!!」と喝を入れられ、雄叫びを上げるイスメラーズ。第九回定期演奏会にもご期待下さい。
プログラム
- 第一部
- スラヴァ! / L.バーンスタイン
- エアロダイナミクス / D.R.ギリングハム
- 鳳凰が舞う 〜印象、京都 石庭 金閣寺 / 真島俊夫
- 第二部 〜イスメリ×昭和の名曲〜
- カーペンターズ・フォーエヴァー / 真島俊夫 編
- ジャパニーズ・グラフィティXVII 美空ひばりメドレー / 星出尚志 編
- オネスティ / 渡部哲也 編
- 坂本九スタンダードメドレー / 遠藤幸夫 編
- 第三部
- 管弦楽組曲「第六の幸福をもたらす宿」 / M.アーノルド
- アンコール
- I WANT YOU BACK / 木原塁 編
- ルパン三世のテーマ / 星出尚志 編