町田・相模原イーストメリーウインドオーケストラ

イスメリ×シンパ ジョイントコンサート / 町田市民ホール(2016/05/29)

2012年の「We Love 吹奏楽まちだ」から4年。イスメリにとっては2回目となる合同演奏会を開催しました。今回ご一緒させていただいたのは、多摩市・町田市・相模原市を中心に活動されているシンパティーア・ウインド・オーケストラさん(以下“シンパさん”)です。

もともと目立った交流があるわけでもなかったイスメリとシンパさん。少し私事になってしまいますが、発端はイスメリWeb担当であるわたくし池田とシンパの広報係さんが偶然知り合ったことでした。「あら、シンパさんなんですか!」「イスメリさんなんですか!」「何かやりたいですね!」てな会話がきっかけとなり、3年ほどの年月を経て実現となりました。

せっかくなので企画立ち上げから本番までの歩みを振り返ってみようと思います。発起人であるわたしの気持ちが強く出てしまっているのは、何卒ご容赦ください(笑)

企画立ち上げから本番まで

打ち合わせの模様

前述のやり取りが2013年3月頃。資料を漁ってみたところ、最初にこの企画がイスメリに顔をのぞかせたのは2013年11月の総会時だったようです。しかしそこからはだいぶ間が開き、実際にお互いの幹部メンバーが顔合わせをしたのは2015年4月のことでした。

当然ながらそれぞれの活動がある2団体の予定を合わせるというのは簡単なことではなく、この顔合わせ会ひとつをとっても、日程の確定までに4ヶ月間もリスケジュールを繰り返していたようです。初の合同練習がおこなわれたのも、企画の方向性を決めてから半年後でした。

そんな初の合同練習は2015年10月。多くの楽団メンバーにとってはこの日が「スタート」であるものの、実行委員的には何せここまでに相当な月日がかかっていたため、「遂に迎えたこの日」という感じでさも本番かのような感慨深さがあったことを鮮明に覚えています。

合同練習の模様

せっかく感慨深いスタートを切ったところですが、ここでまたブレイクタイム。それぞれの演奏会に向けた練習が本格化していく関係で、次の合同練習は翌年2016年の4月でした。なんと、またしても半年…! ちょっとめげそうになりました(笑)

極端なお話で、ここからは突然のラストスパートです。4月2回、5月2回、計4回の合同練習を集中的におこない、一気に本番。本番前日の最終練習では、単独ステージの通しリハーサルをそれぞれお客さんになって観る!というイベントもありました。前回のときに同じことをやってとても刺激的だったので、今回も是非やりたかったのです。実際本当に刺激的でしたし、記憶に残る瞬間となったのではないかと思います。

というわけで迎えた本番当日。短いリハーサルを終え、町田市民ホール開場。心配していたお客様の入りも上々。あとは本番を楽しむのみです。

演奏会の模様

第一部 《シンパティーア・ステージ》

トップバッターを飾っていただいたのはシンパさん! 楽団ロゴそのままの“ミックスベジタブル”な衣装で登場です。シンパさんをステージへ送り出したのち、イスメリメンバーは舞台袖で見守ります。

演奏会の模様

実質の演奏会オープニング曲となったのはP.スパーク「ハンティンドン・セレブレーション」。イスメリでも定期演奏会のオープニングに演奏したことがあるこの曲。みんな大好きスパークの華々しい楽曲で幕を開けることができて嬉しかったです。

2曲目は、朝ドラの主題歌として人気が高い「365日の紙飛行機」。この枠はもともとシンパさんの前回の定期演奏会におけるリクエストステージの“2択”に入っていた曲で、「選ばれなかったほうをジョイントで演奏する」ということになっていたのです。なので実際シンパさんの定演を観に行った際、客席でちょっとドキドキしてました(笑)

続いては、言わずと知れた酒井格氏の超名曲「たなばた」。イスメリでは10年前「第2回定期演奏会」のメイン曲として演奏し、後にも何度か演奏機会がありました。前日の通しリハで初めてシンパさんの「たなばた」を聴かせていただき、涙腺が危ないことに。生で聴くこの曲は、破壊力がすごいですね…。演奏するよりグッときちゃいます。改めて、吹奏楽の魅力が詰まった名曲だなあと実感しました。

しかし、これで終わらせないのが「シンパさん流」という気がします。シンパティーア・ステージの最後は「ジャパニーズグラフィティXV『アニメヒロイン・メドレー』」で明るく元気に!

間近で聴くシンパさんの演奏は、小編成でありながら、ひとりひとりの責任感が音からビシビシ伝わってくる、バンドとしてとても強いサウンドだと感じました。「このあとイスメリ、恥ずかしいことになってしまうのでは…?!」「頑張らないと…!!」という焦りは4年前に感じたものと似ていて、成長が足りないなあと思う反面(笑)、こういった刺激を受けることができる機会はありがたいです。シンパさん、トップバッターありがとうございました!

第二部 《イスメリ・ステージ》

さて、緊張のイスメリ単独ステージです。前回の定演が終わってから3ヶ月、短い期間ではありましたが、なかなかに濃い選曲だったこともあり、充実の練習期間だったと思います。

演奏会の模様

オープニングは「ミュージカル『ゴルディロックス』序曲」。「そりすべり」など一般的に親しまれている楽曲を多数残したルロイ・アンダーソンの、一般的に親しまれていないほうの曲です(笑) 以前「バック・トゥ・ザ・フューチャー組曲」を編曲してくださったアレンジャーの牛島さんに今回も編曲をしていただき、なんとさりげなく吹奏楽版初演となりました。本当に楽しい素敵な曲で、また演奏機会が巡ってくることを願ってやみません。

2曲目は、前回の定演にてダントツでご好評いただきました「オードリー・ヘプバーン・メドレー」を再び。続けて、6年ほど前に取り上げたユーフォニアムのソロ曲「ユー・レイズ・ミー・アップ」を、当時と同じソリストでお送りしました(某アニメの影響で、6年前と比べてユーフォニアムという楽器の知名度は格段に上がっているのではないでしょうか!笑)。

イスメリステージ最後の曲は、A.マルケス「ダンソン No.2」。部のはじめに総合司会の方から「少しクセの強い楽団」とご紹介いただいたイスメリ。今回の単独ステージは「イスメリらしさを凝縮した」ものにしたいと考えていたため、過去の様々な「クセのある、イスメリっぽい曲」たちを並べて悩んだ結果、この曲を選びました。

この曲のイスメリ初演は3年前と、比較的近年です。しかし団内での人気は非常に高かったらしく、再演決定で俄然モチベーションが高まったという声多数。指揮者武田的にも、前回叶わなかった「オケ配置への席替え」のリベンジ機会になったようですし、いろんな人にとって再挑戦したい曲だったのかもしれませんね〜。

ちなみに、ちょっと予想外の事態も発生。なにやら、シンパさん内でダンソンにドハマりする方が続出したそうです(笑) 前日と当日の2回しか聴いてないはずなのに…! いつかシンパさんのダンソンが聴ける日が来るかもしれません。すごい明るくなりそうな気がします(笑)

第三部 《合同ステージ》

ようやくやってまいりました、イスメリとシンパさんが「ジョイント」する、100人規模での合同ステージです。このステージは、アンコール含めてそれぞれの楽団から1曲ずつ出し合うかたちで選曲されました。イスメリとシンパさんとでは過去やってきた曲のタイプや編成なども違うため、当初は選曲にちょっと苦労したような印象があります。

演奏会の模様

そんな合同ステージ1曲目はシンパさん側の提示曲、樽屋雅徳「マードックからの最後の手紙」。指揮は、シンパティーア・ウインド・オーケストラ常任指揮者、鶴見さんでお送りしました。鶴見さんは女性指揮者なので、いつも指揮者が男性なイスメリメンバーにとってはすごく新鮮だったのではないでしょうか。客席からは分からないと思うのですが、鶴見さんはタクトを振っているときの多彩な表情がとっても素敵な方なのです。チャキッとした指導も相まって、練習も毎回充実感のあるひとときでした。つるみ信者になりました。

「マードック〜」は、じつはシンパさんの前回の定演でもメインとして演奏されていた曲です。シンパさん史上最も「大きい曲」ということで、今回の合同ステージ用に再び採用されました。同じ曲とはいえ、シンパさんの定演時からは70人近く人数が増えているわけなので、振る側としては苦労も多かったのではと思います。そこを短期間でまとめあげたのは、流石つるちゃんです。そう、愛称つるちゃんです(笑)

演奏会の模様

続く2曲目はイスメリ側の提示曲、Aリード「アルメニアン・ダンス パート2」。指揮は、イスメリ常任指揮者の武田でお送りしました。かねてより「アルメニアン・ダンスは1より2派」と公言している武田。お互いにとって今後の「糧」になる楽曲を、との想いでこの曲をセレクトしたそうです。

イスメリが前回この曲を演奏したのは7年前「第4回定期演奏会」のとき。その頃も、学生時代最後の定演で絶対にやりたい!とこの曲を推した大学生の武田がいました。当時はまだイスメリも今よりだいぶ少ない人数でしたから、より大編成なバンドで再びこの曲に挑戦できたのは嬉しいことですね。

練習はなかなか苦戦し、特に終楽章はその速いテンポについていくのも大変でしたが、本番ではしっかり熱演になったのではないでしょうか。お客様から頂いた食い気味の拍手喝采は、演奏会の大成功を感じられるものでした。というかシンパさんステージのときから最後までずっと、お客様の熱量がすごかったように思います…! あたたかい&溢れんばかりの拍手を沢山いただき、ありがとうございました!

演奏会の模様

解放感のあるアンコール、1曲目はシンパつるちゃんの指揮で「宝島」。こちらは近年シンパさんのアンコール定番曲ですね。もちろんイスメリでも幾度と演奏していますし、前回の合同演奏会でもアンコールは宝島でした。こういった場にこの上なく相応しい、幸せな曲だと思います。編曲者である真島俊夫さんが今年急逝され吹奏楽界には衝撃が走りましたが、このタイミングでこの曲を演奏することができてよかったです。

2曲目、演奏会のラストはイスメリ武田の指揮で「エル・クンバンチェロ」。こちらもイスメリの、定演以外でのアンコール超定番曲です。途中で「サンバ!」と叫ぶイスメリオリジナル演出があるのですが、今回は「1小節半無音からのサンバ」という謎演出でお送りしました。これ、練習でうっかりそこのパーカスソロを誰も叩かなかったという事故から生まれた偶発的演出です(笑)

演奏会の模様

惜しみない拍手をいただいて、3時間弱の演奏会は無事に終演。お見送りをして、大人数での記念撮影をして、長きにわたる合同プロジェクトは完結となりました。打ち上げが異常なほどに楽しかったのも含めて、大成功だったと思います。

プロジェクトを振り返って

今回の企画を進めるうえでの原動力となったのは「社交辞令にしない」ということでした。こうした楽団活動をしていると「今度なにかやりましょう!」という会話をする機会が多々ありますが、実際実現させるのはハードルが高かったりするものです。イスメリはせっかくしがらみのないフリーな楽団なので、これからもフットワークを軽く、いろんな企画にチャレンジしていけたらいいなと思います。

半ば個人的なところから始まったこの唐突な企画にご賛同・ご協力いただいたシンパの皆様、ありがとうございました! 練習はもちろん、確実に練習回数より多かったであろう打ち合わせへの参加や、練習会場の手配、広報活動その他諸々、沢山お世話になりました。慣れないことばかりで大変でしたが、想い描いていた通りの楽しい演奏会が現実のものとなって、本当に嬉しかったです。

今回の経験を糧に、それぞれまたしっかりと活動を続けていき、よりパワーアップして再びお会いしましょう。その日が来るのを心待ちにしています!

集合写真

プログラム

  • 第一部《シンパティーア・ステージ》
    • ハンティンドン・セレブレーション / P.スパーク
    • 365日の紙飛行機
    • たなばた The Seventh Night of July / 酒井格
    • ジャパニーズ・グラフィティXV「アニメヒロイン・メドレー」 / 星出尚志 編
  • 第二部《イスメリ・ステージ》
    • ミュージカル「ゴルディロックス」序曲 / L.アンダーソン(牛島義寿 編)
    • オードリー・ヘップバーン・メドレー / 杉本幸一 編
    • ユー・レイズ・ミー・アップ / 星出尚志 編
    • ダンソン No.2 / A.マルケス
  • 第三部《合同ステージ》
    • マードックからの最後の手紙 / 樽屋雅徳
    • アルメニアン・ダンス パート2 / A.リード
  • アンコール
    • 宝島 / 真島俊夫 編
    • エル・クンバンチェロ / 岩井直博 編

ふろく 〜画像いろいろ載せちゃいます〜

Special Thanks : 写真撮影さかいさん、共同発起人たっしー&シンパティーア・ウインド・オーケストラ様